工事契約書は客側が不利(2)

 
 前回のblogで「工事契約書は用意した方が有利」だと書きました。
 今回はその続き。

 では契約上で、建て主側が不利になっていることは何か。

 たいがいの場合、建て主側が不利になっているのは工事費用の支払い方です。
 ほとんどの人が、建築工事費用の支払い方については知りません。
 そのため、「先払い」になるのです。(工事に先行して支払ってしまう。)

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 工事費用というのは巨額ですから一度に支払うということはありません。工事中に3回とか、4回に分割して払います。まずそのことを知っておいて下さい。 
 例えば3,000万円の新築工事なら、次のような支払い方が有名です。

 1) 契約時 1,000万円の支払い
 2) 上棟時 1,000万円
 3) 完成時 残金1,000万円

 1/3ずつ、3回に別けて払うのですから合理的に思えるでしょう。
 ところが・・・いちばん問題になるのが(1)契約時の1,000万円です。

 契約するときというのは、工事にまだ着手していません。それなのに1,000万円も支払います。
 翌日、業者が倒産したら・・・、どうなると思いますか?
 その1,000万円は戻ってこないでしょう。

 実際にもこの事例が非常に多いという事実です。(不景気ですから。)

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 30万円のアメリカ旅行代金の支払いなら・・・先払いで30万円を失ったとしても、(たかが)30万円です。
 しかし、住宅の場合では1,000万円もの大金です。このことを忘れてはいけません。
 もしも失ってしまうと、普通の建て主さんなら再起できないのではないでしょうか。

 そもそも、契約書を準備する側が自社の倒産を考慮して契約書をもってくるというのはあり得ないことです。ですから、契約書はいつの間にか「先払い」になるのが慣行です。

 「どうしてそんな契約を結んだのか?」と倒産業者にかかってしまった建て主さんの記事を読むと・・・、
 「そういうものだと思っていた」
 「海外旅行だって、英会話教室の代金だって、ほとんどが前払いだった」

 よく知っている業者さんや大手住宅メーカーなら「先払い」でも問題は起きません。が、よく知らない業者さんの場合、先払いには『絶対に』注意が必要です。

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 では、前回も書いた日弁連の契約書ではどうなっているでしょう。
 万が一、先払いになるときは、業者側に保証人を立てる、という内容になっています。これはこれで意味があると思います。

 しかし、私たち設計者の場合、そのような契約は原則結びません。
 できるだけ現場の出来形に見合った分しか支払わないような契約内容にして、業者が倒産をしても被害を最小限に食い止める内容にしていきます。

 現に私の場合でも、これまでに工事中の業者倒産を経験しています。その工事契約書が出来高払いになっていたため被害を最小に押さえることができました。

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 もっと踏み込んで書くならば・・・この問題は業者さん選定の試金石にもなります。
 上記の話しを行っても「建て主側・先払い」に対して目をぱちくりさせ、理解できないような業者さんは、そう優秀な業者さんではないと思った方がよいと私は思います。

 つまり、消費者側の目線に立てない業者さんです。そういう業者さんには住宅を依頼しない方がよいと思われるからです。

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