とんでもなく安い住宅はあり得るか

 とんでもなく安い家は・・・あり得るか?
 あり得る・・・という話しです。また、その方法について。

 #

 10年ほど前、TVでCMを打っている住宅会社がたいへん安い坪単価を発表していた時期がありました。
 当時、その理由を知りたくて、知人を通して関係者と懇親会をお願いしたことがあります。

 驚いたのが住宅性能評価についてでした。(図は一般社団法人・住宅性能評価・表示協会のホームページより)
画像

 性能評価の面ではまったく問題が無いのだそうです。
 完全にクリアーしている。
 つまり、建物の質を下げて安くしているわけではない。
 ならば、どうやってローコスト化に成功しているのか。

 #

 標準的な家族像を想定し、仕様と数量を決めているそうです。 
 ・家族は4人(夫婦と子ども二人)、と決める。
 ・その家は3LDKである、と決める。
 ・居間に必要な窓は・・・掃き出し窓×1つとする。
 ・食堂に必要な窓は・・・腰高窓×2つ。
 ・・・という具合に家全体の窓の種類を先に決めてしまう。
 このルールから外れる家族は「標準」ではないと考え、ローコスト化の対象としない。

 ・標準家族の押入れは3つ、と決める。
 ・家全体のドアは玄関・居間・・・トイレなど・・・自動的に(例えば)7つ、と決める。
 ・部屋の広さも、標準の面積を先に決める。

 このように想定すれば「標準家族」の窓の大きさ、種類、個数など、初めに全部決めることができます。
 考えてみると、4人家族という標準の暮らし方はどこの家庭でも似たり寄ったりです。
 また、そうだと定義してしまえば、コンセントの数も水道の蛇口も、テレビの場所も・・・すべて決めておくことができます。

 #

 すでに数量は決めてあります。
 仕様も決まっている。
 これら同じものを大量発注する。
 すると、安くなる。

 材料メーカー(例えばキッチンメーカー)が在庫処分をする場合は、率先して処分品を集める。(在庫処分の品質が悪いわけではないから。)
 材料や製品が貧弱なのではないそうです。
 どの家も同じ大量発注品であるというだけで、中には大手住宅メーカーの品物より高級品が使われるときもある。

 #

 私は納得ができました。
 なんでもかんでも決めてある。
 その選択肢から「標準家族」になった人(建て主)が家をつくっていく。
 (間取りは同じ面積内で組み替えられるようでした。)
 
 意表をつくような話しでしたが・・・考えてみると、建売住宅も似たようなものです。
 「標準家族」で建ててあります。

 標準には無い「出窓」にしたい人はどうなるのでしょう。
 その場合は差額が出る。(割高になる。)

 #

 当初、私は「安かろう悪かろう」だと考えていたので裁判事例についても伺いました。
 「クレームが多くてトラブル案件にならないのか」
 ・・・トラブル案件はメーカー住宅と同じくらいの数だとのこと。

 #

 数と仕様がすべてが決まっている、というのは・・・これが注文住宅なのか・・・、とは思います。
 が、家族像を限定したことがポイント。
 この会社、ローコスト住宅を供給したという点で、画期的だった・・・と思うのです。
 (他にもさまざまな工夫を知りましたが今回はポイントのみ記述しました。)

この記事へのコメント