上吊り引戸がキーワード

 引き戸にこだわる住宅について。。。
 とくに、「上吊り」の引き戸は、良い家のキーワードだという話し。

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 ■ まず最初に従来の引き戸を説明します。
 
 従来の引き戸は床にレールがあり戸車がレールの上を走るというものです。
 次の欠点がありました。

 ・ レールにゴミ・ホコリが溜まってくると、戸車はゴミの上を走るようになりガタゴトし始める。
 ・ また、ゴミは戸車にも絡みつくようになる。
 ・ 次第に音がするようになります。
   (マンションでは下階の住人から苦情がくる場合もある。)

 ・ 一方、ドアは縦に長い形状のため、ドア巾とドア高さの比率に根本的な無理があるのです。
01レール下.jpg
 分かりやすいように下図のような巾の狭い引き戸を描いてみました。
 ドア巾:1に対して、ドア高さ:3を超えると・・・引き戸は引きにくくなり無理な力が加わって故障しやすい。
 この絵のような引き戸はすぐ調子が悪くなる。
04引けない引戸.jpg

 ■ 上吊り引き戸なら、どうでしょう。
 
 ・ レールが上にあるのでゴミが溜まりません。
 ・ ドアはぶら下がっているので、ドア巾と高さの関係は・・・無視することができます。
 ・ 無音に近いのでマンションでも使用できる。(下階から苦情がこない。)
02レール上.jpg
 上吊り引き戸は原理的に優れているのです。

 次の図は天井高さ2m40㎝、天地丈(たけ)いっぱいの引き戸です。
 上吊りレールを天井の中に隠すことができるため、形はスリム、デザインが良くなります。
03天井内.jpg

 昨今、上吊り引き戸には付加機能も加わりました。

 ・ ブレーキ機能

 閉めるとき、思いっきり閉めても15㎝手前くらいでブレーキがかかる。
 思いっきり開けるときでも、同様にブレーキがかかる。
 上吊りだからレールの中にブレーキが組み込めるのです。
 ブレーキ機能はバンッ!と閉まらずソフトに閉まるので、子どもの指挟み事故を減らすと思います。

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 そもそも、引戸の利点とは何だったのか、おさらいをしてみます。

 ・1 開放しやすい。
 ・2 開けていても、一般的な開きドアのように邪魔にならない。
 ・3 開ければ、光が行き渡り、通風もよくなる。
 ・4 壁の中に隠す、引き込み戸も可能。
 ・5 高断熱の家では開けておけば、家中温度差のない家になる。

 いちばん重要なのは、「5」の高断熱住宅の考え方と関連があるからです。
 高断熱を志向している建設会社ほど、上吊り引き戸の事例が多い。
 ほとんどの部屋を開けっぱなしにできる。
 トイレも開けたまま。。。。それが何故、良いのかというと、

 ・ 温度差の無い家が生まれる。
 ・ 開放感がでる。
 ・ 視線が遠くに飛ぶので、家が広く見える。
 ・ トイレは使うときだけに閉める。(アメリカ住宅の考え方)

 上吊り引き戸は高気密高断熱住宅と、相性がよい。

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 設計者や、建設会社を見るときは・・・住宅にどれくらい「引き戸」を使っているのか。
 その引き戸は「上吊り式」なのか、否か。
 Key Wordになると思います。

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 補足事項(1)
 上吊りの場合、引き戸はぶら下がっているので、扉の下方はブラブラしています。
 この現象を解消するために扉の下部にガイドローラーを設置し、ブラブラ状態を避けています。
 床にレールは必要ありません。
 詳しく知りたい方は、アトムやスガツネ(どちらも金物メーカー)のHPで「上吊り式引き戸」を検索してください。

 補足事項(2)
 高気密・高断熱住宅は大手住宅メーカーより中小住宅会社の方が進んでいると感じます。
 大手住宅メーカーはシステム上そこまでの性能を出すことができないようです。

 補足事項(3)
 当事務所の実例を載せておきます
 壁内への引き込み型の「上吊り引き戸」です。吊り戸なので床にレールが要りません。
IMG_2519.JPG
IMG_2521.JPG

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この記事へのコメント

フランキー
2019年07月07日 20:47
日本家屋は引戸が多いですね。
しかも戸車は使わずに。
大工さんの腕なんでしょうね。
2019年07月08日 00:15
 コメントありがとうございます。 
 襖のことをおっしゃっているといるのだと思います。
 が、部屋と部屋とを区切るドアはもう襖ではなくフラッシュドアが建築界の一般的解釈となります。
 例えばトイレ。
 トイレのドアに襖を使う家はもうないと思います。

 襖の厚みは21㎜です。しかも両面紙張り。
 もうそういう時代ではないのです。

 ここで採り上げた引き戸は襖ではなく、厚み30~36㎜の両面べニア張りの(現代の)引き戸で文章を書いています。

 やや専門的要素があり・・・申し訳ありません。
 なるべく理解されやすいように書いてはいるのですが。。。
 すみません。
 (分かりにくい場合はどしどしコメントを下さい。)

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