メーカー住宅はクローズド構法
設計や工事には「開かれた構法」と「閉じた構法」があるという話しです。
今回は閉じた構法の利点について。
#
木造?、鉄骨造?、それとも鉄筋コンクリート造?
一度は考えたことがあると思います。
ところが、「オープン構法」「クローズド構法」については、考えたことがないと思います。
そもそも「それって何なのか」
#
メーカー住宅(正式には工業化住宅)はたいがいクローズド(閉じた)構法です。
独自の構法で建設しているので、組み立て方も、構造部品も世間のものとは異なります。
構造計算も実験を行いながら、自社に最適な計算方法を確立させています。
そんなわけですから、工業化住宅とは国からの認定を受けて家を建てているのです。
一社だけの独自な工法には国の認定が必要。
それを「閉じた構法」といいます。
どうしてそのようなことをしているのでしょうか。
利点です。
■■
■■・・・1) 何でもできますとは言わずに、設計の範囲を狭めた。
有名なのは単位です。
30cmの倍数でしか家をつくらないとか、我が社は50cm単位でつくります、みたいなことです。
中途半端な寸法に応じないのです。
そのおかげで部品は点数が激減。
制限することで合理的になった。
■■
■■・・・2) 合理的な仕組みはコストを下げる。
部品点数が減れば、コストは下がります。
特注品が皆無なんですから、すべての部品はどの部位にもっていっても合理的に接続できます。
窓の数も減らしました。限定した大きさの窓しかありません。
減らすことは重要です。
例えば、ビニールクロスの場合。
実際のビニールクロスは万の単位で存在しますが、種類が多いと建て主は選択に迷います。
一生に一回の家で・・・数万の中から一つを選ぶとなると、決められない建て主は一週間ほど迷ってしまいます。(夫婦喧嘩になる家もあります。)
それをメーカーが厳選した、たった5種類の中から選ぶことになったら、どうなるか。
建て主はものの10分もあればビニールクロスを選びます。
(夫婦喧嘩も起きません。)
打ち合わせ時間の短縮が可能となりました。ビニールクロスの管理も施工も楽チンです。
すべてのことを、「できない」「つくれない」ことにしたのですが、巧みにそうは言わず・・・コストを下げました。
(コストを下げたのです。売値を下げたこととは別問題です。)
■■
■■・・・3) 特化した部品は向上する。
何でもかんでも全部の品質を向上させるのは困難です。
しかし、部品が減れば品質もよくできるし、デザインも充分検討することが可能です。
クローズした商品は、格好も質もよくなるのです。(手間暇かけることができます。)
■■
■■・・・4) 住宅メーカーの「らしさ」が生まれる。
結果、今ではメーカー住宅の方が一般建築住宅より格好がいいかもしれない、というレベルに近づきつつあります。
「らしさ」が生まれてきています。
ヘーベルハウスらしさ。
セキスイハイムらしさ。
ミサワホームらしさ。
■■
■■・・・5) 真似しにくい「差別性」が生まれた。
一般住宅建築はメーカー住宅をもう真似ることができないほど、メーカー住宅の品質・デザインは優れています。
そこに差別性が生まれてきました。
住宅建築に少し精通している人なら、外観を見ただけでどこのメーカー住宅なのか分かるのが常識。
違いが分かるので、優劣の差別が出現しています。
それは今やファンをつくり出しています。
ファンクラブみたいな組織。
高島屋デパートの会員とか、三越デパートの会員みたいなファン。
メーカーはそのファンを大切にしています。
そのことで後に続くリフォームが受注できる。他の家を紹介してくれる。
#
閉じた構法はクローズしていることで満足を生み出す。
一般構法建築の何でもできるオールマイティを否定し、それを利点にした仕組みです。
因みに、メーカー住宅と言われる「工業化住宅」は世界的に見ると日本にしかありません。(私の知る範囲では。)
日本人の緻密さかなあ。(NHKのクールジャパンに採り上げられてもおかしくない技術です。)
(そのうちに別の視点で閉じた構法について書きます。)
"メーカー住宅はクローズド構法" へのコメントを書く